アルコールで脳が委縮?継続的な飲酒による健康への悪影響のウソ・ホント

2017年11月2日

結論

  • 脳は萎縮するが、脳機能が低下するわけではない
  • 萎縮した脳細胞は再生しないが、脳機能は再生する
  • 飲み過ぎはダメ、ゼッタイ

飲酒で脳が委縮する?

作家、山本一郎の「酒を飲むと少量でも『脳が委縮』の衝撃」というコラムが話題になっています。継続的な飲酒により脳が委縮するという通説は昔からありましたが、それがイギリスの研究により少量の飲酒でも影響があるとされたというものです。

飲酒で脳が委縮するというデータ

今回参照された英医師会誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)」の論文には、週にアルコールを300ml以上摂取した場合、高い確率で脳の萎縮が見られたとの見解が述べられています。アルコール度数5%のビールに換算すると週に6L(一日800ml以上)の飲酒で脳の萎縮を引き起こす計算になります。

また、同論文では適度な飲酒量を守った場合でも脳の萎縮が発生すると述べられています。週にアルコールを140ml~210ml摂取した適度な飲酒者においても全く飲まなかった人の3倍脳の萎縮がみられる可能性が高かったというものです。

ここで気を付けたいのが適度な飲酒量の定義です。同論文の適度な飲酒量の最低値であるアルコール140mlは350mlのアルコール度数5%缶ビールに換算すると11本強になるという事です。

委縮した脳は元には戻らない?

また、アルコールと脳委縮でよく語られる言説に、委縮した脳細胞は元に戻らないというものがあります。確かに委縮した脳細胞自体は再生しないというのは、現在の医学界の通説になっています。ただし、その事実だけを鵜呑みにし、恐れる必要はありません。

脳の萎縮と脳機能回復は同列で語るべきではない

脳の萎縮自体は、先ほども述べた通り不可逆的な健康リスクと言えるかもしれません。しかし、脳の萎縮が不可逆であることと、脳機能が回復不可能であるという事は必ずしもイコールにはなりません。

アメリカの研究では、アルコール依存症の患者が断酒をしたことにより、一週間で脳の機能が2倍に回復したという研究結果もあります。このように脳委縮と脳の機能は必ずしも同列で語れるものではありません。

飲酒が認知症予防になるという研究も

また別のアメリカでの研究を参照すると、適度な飲酒量は認知症リスクを半分以下に抑えるという結果が出ています。ここで言う適度な飲酒量とは、350mlの缶ビールの場合週に1~6本飲むグループの事を指し、前述の論文よりも少量となっています。

因みに同研究においては、上記のイギリスの論文における適正量の飲酒を行った場合、認知症リスクは全く飲まない人の1.5倍になるという結論が出ているため、双方の論文に大きな矛盾はありません。

確かにアルコールが脳の萎縮と関係は否定できませんが、今回の論文の結果は必ずしも飲酒の習慣が脳機能低下を引き起こすという結論ではありません。

もちろん過度な飲酒は脳の萎縮を含め大きなリスクとなりえます。しかし、この論文自体は飲酒を過度に怖がらせるものではありません。